朝晩はだいぶ寒くなってきた。
布団にもぐるたのしみがこの季節にはある。
好きな季節だ。
気分も軽快になる。
回復していくような。
もう少し寒くなると、また、何もする気が起きなくなる。
春と秋のほんの少しの期間だけ、気分が良い。
季節に敏感にいたいのではなくて、季節を気にしないでいたいのかもしれない。
夏の暑さは身の回りの空気そのものに抵抗をかんじるし、冬は寒さのあまり身体が梳いていく。
この頃だけは、身の回りが透明で私の輪郭が濃くなる。
頭も明瞭でよく眠れる。
食欲も旺盛だ。夏の間に痩せた分体が大きくなり、世界に対する私の比率は大きくなる。
とはいえ、昨年の今頃は床に伏していて2か月ほど会社を休んでいたのではないか。
透明な季節のくっきりとした私の輪郭も、まあ、気休めのようなものなのかもしれない。
こうだろう、と思ってみても私は矛盾している。
矛盾していることはうれしいことのようでもある。
定められた枠から逃げ出す原動力になる気がする。
しかしやはり説得力に欠けるような気もする。
だいじなことを言葉にしているつもりでも、過去の私の言動がそれを弱弱しいものにしてしまう。
言葉にすることで、私は私の輪郭を明確にしようとするけれど、それは脱皮ににていて、たしかにくっきりと浮かび上がった私はもはや私のものではなく言葉のものになるのだろう。
言葉は私のものではなく、私たちのものだからだ。
言葉にすることで、私になりたいのか私ではなくなりたいのか、よくわからない。よく理解できるようになる気もするし、遠くなるような気もする。