悪い慰め

感傷癖から抜け出すためのレッスン

読書/日記

その日

 

仕事。
仕事帰りに図書館へ行く。
関口涼子の詩集を借りる。
それと室井佑月の『熱帯植物園』と『世界一うつくしい植物園』というガイドブックを借りる。


『熱帯植物園』は枡野浩一が解説を書いていた。


そういえば『かんたん短歌の作り方』にも室井佑月の名前が出てくる。

 

『かんたん短歌の作り方』は漫画誌の連載で、マスノ短歌教の教祖である著者が読者からの投稿を募集するという形式になっている。励ましたり、厳しく駄目出ししたりする。そのやりとりが微笑ましいというかおかしい。いくつかの短歌を評価したのち、著者は以下のように書く。

 

 こうやって信者の歌を並べると、みんな、ハードに生きてるって感じだねえ。ガンバレなんて、教祖は言わない。言いたいのは「また歌を送ってください」ってことだけです。

 

すごく好きな一節だ。人生はたしかにハードだ。しかも著者は全員の短歌をとりあげてくれるわけではない。厳しいことも言う。ハードなうえに書いたものをとりあげてもらえないなんて、悲惨なことのようだけど、これ以上ない励ましに思える。

 

 


その日

 

休み。
植物園に行こうと思ったけど、なぜか動物園に行くことになってしまい、それはそれでいいかと思っていたら、すっぽかされて結局家で過ごす。いい天気だった。

 

室井佑月『熱帯植物園』、
『現代詩文庫 川崎洋』を読む。


川崎洋の詩は、とてもさわやかなものがあってそれが良かった。

 

〈 朝の/光の中を/駆けてくる少女/やわらかい髪の毛は/その日光に溶けてしまって/まぶしい〉
『朝』より

 

朝が好きだ。
世の中のセンチメタルな人たちのなかでは夜派の方が多いだろうから朝派きっと肩身が狭い。けれども夜の孤独は、なにせ真っ暗でなにも見えないのだから誰もが孤独だ。朝とか、もっといえば午後三時の孤独の方が明るいぶん寂しい。


これからは俺は午後三時派だ。

 

朝と言えば好きなのは、萩原朔太郎の『月に吠える』より

 

 五月の朝の新緑と薫風は私の生活を貴族にする。したたる空色の窓の下で、私の愛する女と共に純銀のふぉぅくを動かしたい。私の生活にもいつかは一度、あの空に光る、雲雀料理の愛の皿を盗んで喰べたい。