悪い慰め

感傷癖から抜け出すためのレッスン

日記

01/20

休み。
ぼんやりしている間に一日過ぎてしまう。たまに職場でさしいれでもらう肉まんが美味しいので、調べたらPAOPAOというところのものだった。コンビニでしか肉まんを食べたことがなかったので、新鮮。大きい駅ビルの食品売り場によくあるらしい。
夏目漱石『門』を読む。
おもしろかった。気が小さくて疲れ果てている主人公がよかった。


侯孝賢『冬冬の夏休み』を観る。
何年か前にデジタルリマスター版を劇場でやっていて観たい観たいと思っていてその後も何度か劇場公開していたのにもかかわらず、観ずに過ごしてきたけどようやく観れた。良かった。
主人公の冬冬の妹と寒子との関わりが良くて泣ける。妹は冬冬から邪険にされていて、寒子も村の人が扱いに困っている人物。ささやかな交流が誰も知らないあいだにあって最後も切ない。


侯孝賢の別の映画では、けっこう食べるシーンが好きだったりするんだけど『冬冬の夏休み』ではあんまり印象に残らなかった。冬冬が夏休みを過ごす祖父の家でみんなが食事するシーンでも冬冬はいなかったりするし。
食事といえば、先日観たホン・サンス『次の朝は他人』。ホン・サンスの映画といえばとにかくべらぼうに飲むんだけど、いつも目につくのはチャミフル。緑の瓶が印象的。『次の朝は他人』は白黒で、そのせいかチャミフルはほとんど出てこなかったような気がするけどどうだったろう。一番出てくるのは、マックスビールの瓶だと思うけど、お猪口みたいので飲んでた気がするし、なんともいえない。冒頭のシーンで、マッコリを飲むところは良かった。たぶん温めていたと思う。そういう飲み方があるのは知らなかった。美味しそう。


ところで、年長の兄弟がちょっとうとましく思う年少の兄弟の系譜というのはなにが最初なんだろう。誰もが思いつくのはトトロにでてくるメイだと思うけど、昨年読んだ『結婚式のメンバー』という小説に出てくる主人公フランキーの弟もそんな感じ。


01/21

仕事。
寒く感じた。
帰宅後はテニスを観ていたらあっというまに時間が過ぎてしまった。
テニスは、すごくハードなスポーツに思える。何時間もひとりっきりでプレイしなくてはならないのだ。しかもいちいちプレイが止まる。いろんなことを考えるんだろう。とても孤独な時間だと想像してみる。コートでは誰でもひとりひとりきり、とはほんとにそうだ。
本はあまり読めなかった。夏目漱石彼岸過迄』をすこし読む。漱石の本をいくつか読んでいてやめようと思ったけど、わりと面白いのでしばらく読もうと思う。
いま日記はキーボードで書いているのだけど、手書きでも書いていこうと思う。


01/23

仕事。
仕事終わりで、立川へ遊びにいく。
待ち合わせまでに時間があったのでブックオフに立ち寄る。ちくま文庫のオースティンと荒川洋治のエッセイ、枡野浩一の『くじけな』を買う。枡野浩一の本はamazonで新品が買えない本がけっこうあって、でもすごく安い値段の中古品が出品されているから手に入らないわけではないものの、なかなか古本屋で出会う機会がない。『寂しいのはお前だけじゃな』と『ショートソング』はよく見かける。ファンなので、なるべく新品を買いたいと思っているのだけど、『くじけな』はすでに持っているので、待ち合わせた人にあげる。『くじけな』というタイトルからなにかこちらの意図しない意図をくみとったようで微妙な顔をしていた。タイトルのことはあげてから気がついた。ざんねん。


今日も読書は少しだけ。夏目漱石彼岸過迄』。
探偵になりたいなどと言っていた主人公は、職業を斡旋してもらおうと近づいた人から尾行を依頼されるという変な場面を読む。やってみたいと言っていたわりに、張り込んでいたところにたまたま現れた女に気をとられてしまう。とくに知り合いというわけでもない女を見ているとその女が尾行対象と関わりのある人物だったというますます変な筋で、後日依頼人に報告をする段になると、女に気をとられていたこともうまくいえずしどろもどろでおかしい。