悪い慰め

感傷癖から抜け出すためのレッスン

プールの裏側通信

みなさんこんにちは。
お元気ですか。
私はあまり元気ではありません。
3ヶ月に一度くらいのペースで、郵便受けにガス料金値上げのお知らせが入っています。
暑くなってきて、お湯を使う機会が減ったのでよかったですが、冬になったらどうなってしまうんだろうと考えると、それだけで眠れなくなってしまいます。

最近は小川洋子『密やかな結晶』を読んでいます。
小川洋子は中学生くらいのときから読んでいて、当時は特に好きでした。でもこの本は読んだことがありませんでした。読み始めてそのことに気づきました。読んだことはないのに、不思議と私の小川洋子の好きさみたいなものがよく思い出されました。静けさと生々しさのようなものです。この小説は世界についてあまり語られないことによる空白感と設定上語り手の内面に生じている空白感がうまく噛み合っていると判断できるならば、良い小説のような気がします。
私はささいな場面から10年以上昔に読んだ小川洋子の小説の、感触だけは思い出せるけど、具体的な場面などは思い出せない感じが、この小説の中で登場人物たちが消滅してしまったものに触れながらぼんやりとそれについて思い出すような思い出さないような感じと重なるような気がして、面白く感じました。

ところであまり馴染みのない書き方をするといつも以上に自分の文章が下手に感じます。
歩くとき手足の動きを過剰に意識すると歩行がぎこちなく感じるのと似ています。
私は映画やドラマをみると、すぐに影響されてしまい所作を真似したくなるのですが、そういう時にぎこちなさを感じます。
文章も同じかもしれません。誰かの文章を真似ようとするとギクシャクを感じます。一度そうなると、元に戻そうとしても上手くいきません。それはつまり自分自身が変化してしまったということなのでしょうか。よくわりませんが。

さて、今回は以上です。
それではさようなら。お元気で。
また次回。