悪い慰め

感傷癖から抜け出すためのレッスン

2022/01/08

雪が降ると喜んでしまう。
周りの人が困ったりしているというのに、恥ずかしい、という気持ちもある。
それでも、ほんのり嬉しい。
私は悪人かもしれないと思うが、きっとそれほどでもないだろう。とりたてて悪というほどてもない無神経さのうちになにかしら人間にまつわるかなしみがあるとも言えそうだ。
静かに降る雪を眺めながら、そのように何か考えた気になる。これは暖かい部屋の中で眺めるからできることだ。

スマホで降る雪を撮ってみるけど、なんだか思ったのと違う。あまり降ってる感じがしない。動画に替えてみても、雪のひとつひとつは私が見ているよりも小さく、ささいなものに見えた。

厚着して外に出て、ひんやりとした空気を感じるのも好きだ。傘をささずに歩きたい。犬でなくて良かった。フードを被ってポッケに手をつっこんでいれば、はしゃいでいると思われることはない。

翌朝にはほとんど溶けてしまったが、朝など日陰はツルツルしている。
どうしてもツルツルしたところに足を乗せたくなってしまう。
ニュースでも、さんざん路上の凍結に注意してくださいと言っているにもかかわらず、欲求を抑えきれない。もっと歳をとっても、この気質が変わらないとすれば、運動能力がめっきり衰えてきたころにツルッと滑って死ぬのかもしれない。それとも、運動能力が衰えなければ滑らないと思っている不遜さが明日にでも私を殺すかもしれない。