悪い慰め

感傷癖から抜け出すためのレッスン

2022/02/18

ドナルド・クローヴァー主演のドラマ『アトランタ』の新シリーズがはじまるらしい。
huluで配信されるのだろうか。まだ詳しいことはよく知らないけど。huluは未加入なので、だとすれば余計な出費が増えてしまう。
アトランタ』はすごく良いドラマだ。とても好き。
理不尽な出来事にたいする登場人物たちの反応が良い。不機嫌よりの戸惑い、みたいな表情をする。出来事にたいする戸惑いに、カーヴァーの小説を思い出したりする。もっとも、私はなんでもかんでもカーヴァーの小説を思い出してしまうのだけど。
BADHOPのYZERRが自分たちの音楽に対して「あれに似てるこれに似てる」とばかり言ってくる人たちはあんまり音楽をたくさん聴いていないから、なんでもかんでも自分の聴いてるものに似て聞こえてしまうんだと言っていて、そういうことはあるかもしれない。
アトランタ』は時間が30分なのも良い。ドラマはたいてい1時間くらいで、映画の2時間よりは短く、仕事で疲れて帰ってきた日でも1話くらいなら観ることができる。私は映画を日常のなかにうまく組み込めない。2時間にすこし身構えてしまう。1時間なら、まあ良い。30分だとなお良い。ちょうど良い。『愛の不時着』を今日まで見逃しているのもたぶん長さのせいだ。
ただ、『アトランタ』は意味がわからない部分も多い。理解できていない文脈がたくさんある気がする。
コメディは難しい。教室でみんなが笑っているのに自分だけがピンときていなかった時を思い出す。

昨年出た『フライデー・ブラック』という素晴らしい短篇集の帯には、ケンドリック・ラマーの『To Pimp a Butterfly』と『アトランタ』の名前が並んでいた。
『フライデー・ブラック』は恐ろしい理不尽さを想像力を駆使してというか寓話的にというか、描いた短篇集でユーモアもある。やはり、文脈がよくわからなかったりするけど、いちおう註釈がついていて、註釈はありがたいなと思った。ちなみにこちらは、カーヴァーを連想しなかった。
ドラマにも、註釈がついていたら良いのにと思った。