悪い慰め

感傷癖から抜け出すためのレッスン

クレープ屋をみつける

晴れていたので歩いていたらクレープ屋をみつけた。
クレープはいつでも食べたい。
生クリームとチョコだけのやつが好き。
生地はあまりパリパリしてない方が好き。
冷たい風に身を凝らせて薄く丸く伸ばされるクレープを眺める。両手で受けとるとそれは陽に似た温度をしている。
温かいクレープが食べたい。

いつだってクレープ屋はひっそりとある。
あんなにひっそりとやっていて、経営が成り立つのだろうかと心配になる。だけれど、いつも一人か二人、クレープ屋の前に人はいる。クレープを買っている人を見ると羨ましくなる。心に余裕がないとき、人はクレープを食べない。
クレープ屋に気づくとき、私はたいてい道をはさんだところにいる。今度近くに来たら寄ってみようとその場で立ち寄らない距離が道幅だ。

クレープを買っても、どこで食べたら良いのか心配になってしまう。お店の前に置かれた小さいベンチに座って食べるのはなぜかちょっと恥ずかしい気がする。
歩きながら食べるには、クレープはしっかりとしすぎているような気もする。
あなたがいれば、ガードレールにもたれかかり、気取った顔で食べたりするのかもしれない。
あるいはひとりで、持て余したクレープを抱えて、電車に乗って帰ろうか。